COLUMN
コラム

韓国エリアトラウトトーナメント参戦記/鈴木将人

皆さんこんにちは、TIMONのシャイン鈴木です。

翌週に東山湖で開催されるトラウトキング選手権地方大会TIMONカップを控えたトーナメントシーズン最盛期の12月9日から11日にかけて、自身初となります韓国のエリアトーナメントに参加して来ましたので、その模様をレポート致します。

今期よりTIMONの韓国正規代理店であるタックルショップLunkerがトラウトキング選手権大会に正式に加わったことにより、韓国のエリアトーナメントシーンが更に盛り上がりを見せているという事前情報もあり、日本で培った釣りのテクニックが通用するのか、さらに現地アングラーの熱を直に感じてみたいと思い参加致しました。

私自身、これまで国内のトーナメントでその時の状況に応じて、ルアーを選定しアジャストしてきましたが、赴く先の釣り場の情報と言えば、以前に杉山プロが参加した際の“とにかく寒い”、“トラウトが日本に比べ1回り以上大きい”、“池が深い(2~3.5メートル)”、そして、、、“とにかく寒い”。 これぐらいの情報でした。

出発が決まった一週間前ほどから現地を想像し、数少ない現地の映像からルアー、タックルを選定しましたが、正直なところ未開の地で私の力が通用するかという点では楽しみではあるものの、勝負に勝てるかどうかは不安でした。

期待と不安がハーフハーフな中、12月9日に韓国に渡り、まずは現地の店舗視察。

この時の私はとにかく情報が必要で、お店の方や現地のアングラーさんから大会会場の詳細な情報(地形や水深、水温など)や韓国で人気なカラーに関してヒヤリングを行い、明日のプラクティスに備え、早めに就寝しました。

この初日のヒヤリングで自身が感じたことは、次の3点です。

  1. スプーンの大きさが日本と比べ、一回り大きい
  2. 日本市場には少ない、強い明滅カラー(もちろん、時と場合による)
  3. 気温はとにかく寒いが人は暖かい

 

(1)と(2)に関しては、これから現地で検証を進めていくのでここでの説明はあえて割愛させていただきます。

(3)は杉山代悟プロにすぐにLINEで報告しました。

 

夜が明け、時差ボケはないものの、昨晩食べたサムギョプサルの香りがほんのり残るプラクティス当日の12月10日早朝、釣り場へと出発。

1時間ほど車で走った郊外にある、ダムをせき止め、網で囲ったような管釣り場チャングァン釣り場に到着しました。

水辺はかなり冷え込み、身体にしみる状況です。

(外気温:マイナス10度、体感ではマイナス15度ほどでしょうか)

もちろんTOPガイドも一回のトレースで凍ってしまいます。

この時のタックルは悩みに悩んだ結果、日本からの移動や初めての場所でいち早く状況を把握する事を考慮し4セットに絞りました。(タックルセッティングは最後を参照下さい。)

プラクティスでは試すルアーの量が多いほど得られる情報は多のですが、逆に情報が多すぎると頭が混乱してしまいます。そのため、この日は①ティアロの中層スプーン、②タップダンサーやダートランでのボトム、③アピード!の放流を意識した流れ、④パニクラDRでのクランキング、この4点にフォーカスを当て、それぞれのタックルをセッティングしました。

杉山大悟プロの前情報通り、釣り場の水深は日本の平均的なポンドと比べ深く約4m、また今回の会場はヘラブナ釣りのポンドとトラウトのポンドが桟橋で区切られ、対岸は駆け上がりのあるおかっぱりができる形状。

釣り場のファーストインプレッションは私のホームである王禅寺さんに似ている感じがして、巻き主体で釣れるイメージでした。初めにプラクティスをスタートした桟橋エリアでは足元まで水深があるため、現地の方々は重ためのスプーンで釣っていました。一方、私はというと、色々試したものの反応があっても決して連発はしない悪い流に内心焦っておりました。その後、桟橋から対岸のおかっぱりエリアに移動しプラクティスを続けました。

移動と同時に、これまで行っていた巻きの釣りから展開を一気にボトムへとシフトしタップダンサーとダートランを試すと、タップダンサーの縦の動きには高反応。

フックアップまで至らなかったり、フッキングが浅かったものの、これまでのトーナメントの経験から、この状況ではメタルクロボールなら釣れるという自信がありました。

なぜなら、メタルクロボールはコンパクトでかつアクションのスピードが速くリアクションバイトで口を使わせられるからです。

この日のプラクティスでは正直なところ、ストロングパターンは掴めずに、最後の私の閃きである“メタルクロボール”というのが、明日の大会に繋がる唯一ヒントとなりました。

そして迎えた試合当日の12月11日、試合会場は日本とは違いかなりワイワイとした雰囲気もありつつ、どこかで日本人代表として見られているという緊張感が漂う会場でした。

試合の方式は、1回戦は4人1グループの総当たり戦で上位2人が2回戦に進出、2回戦から準決勝は1対1での対戦、決勝は4人での対戦となり、ベスト16に入ると2月に行われるランカートラウトチャンピョントーナメントマスターズカップ(以下、決勝リーグと略)への参加資格を得られます。ルール自体は日本の試合と大きな違いは有りません。

そして、試合スタート。私は審判スタートでしたので、周りの釣りを観察しながらどんなパターンで釣れているかをチェックしていました。試合を見ているとTグラベルで釣っている方が多く、やはりボトム展開が強い印象。そして、桟橋とは対岸のおかっぱりエリアで私の釣りがスタート。

先日のプラクティスで唯一のヒントとなったメタルクロボールのパターンを試すと何とか連発。昨日のプラクティスで得た自身の閃きで、初めて韓国の釣り場にアジャストできた貴重な経験となりました。

メタルクロボールにて一通り釣りあげ、その後にTグラベルも試すとこちらも調子よく連発。一時はリードされる試合もありましたが、予選は全勝し通過。

この日のキーワードは“ボトム”とメタルクロボールが作る“スピード”となり、2回戦、3回戦、準決勝もエリア移動があまりなく同じパターンで勝ち進みました。

むかえた決勝戦、予選のおかっぱりエリアではなく、前日不発だった桟橋からのスタートとなりました。

決勝戦がスタートした時刻は正午過ぎで、午前中と比べ水温が上昇しボトムへの反応も悪くなっていました。私の持っているパターンがボトムしかなく、それで押し切ることにしましたが、無情にも時間だけが過ぎ、結果的に決勝はノーフィッシュで終了となってしまいました。

悔しいという感情と決勝まで行けたという安堵感が混ざって複雑な心境でしたが、早朝から昼にかけての水温上昇、また魚のサイズや密度を考慮に入れた別のパターンが勝ち残る為には必要であると強く感じました。日本でも水温の上昇はありますが、韓国と日本とでは明らかに寒暖差のギャップに違いがあります。この大きな寒暖差をルアーのアクションやカラーでコントロールできないか、次の大きな課題となりました。

今大会は4位、年間でもベスト16には入ることが出来たため、2月に開催される決勝リーグへの出場権を獲得することが出来ました。

試合が終わってからはシャイン鈴木の名の通り、日本のフィッシィングショーへの参加や国内の営業活動などの「社員」としての活動の他、国内のトーナメント出場などプロスタッフとして仕事を兼任する多忙な日々が始まりましたが、2月の決勝リーグが近づくにつれて、予選で感じた閃きと対策にフォーカスを当てて再度、ルアーやカラー選定を行いました。

次の決勝リーグでは、韓国でのトーナメント参戦経験があり、ティモンのスプーンのカラー開発にも携わっている杉山ダイゴプロと協力し、対韓国用のカラーサンプルを作成して大会へ臨みました。

今回のサンプル作成で重視したポイントは予選大会やプラクティスで現地アングラーにヒヤリングした情報(①スプーンの大きさが日本と比べ、一回り大きい。②日本市場には少ない、強い明滅カラーを盛り込む事。更に、日本でも通用する今までなかった配色であること。

釣れるかどうかは最終的に現地(韓国)でテストし、自身で判断する。

これらの大きな課題と目標を抱き、2月25日再び韓国に入国しました。

2月の韓国は12月ほど冷え込まない状況でしたが、早朝の外気温は以前と同様のマイナスで、吐く息も白くなる状況で、今回は以前の予選で得た情報や閃きをタックルに落とし込み、厳選した6本で決勝リーグに挑みました。

初日のプラクティスではボトムパターンを試し、まずまずの反応が得られたため、前回の試合とパターンがあまり変わっていないと確認できました。また、このタイミングで試作したカラーや開発中のルアー等も現地アングラー様と共にテストし、まだまだ課題点はあるものの、結果は良好で韓国で通用するカラーやアクションの方向性に間違えがないと確認できました。現地アングラーさんのご意見は日本とは異なる点も多く非常に勉強となり、今後のカラー、新製品の開発に必要不可欠な要素であるということも改めて実感いたしました。ありがとうございます。

そして、むかえた試合当日、寒さに加え水がどんよりしており、魚もかなりタフな状況。案の定、1回戦はロースコア戦となり、私も初戦負けスタートとなりました。その後の試合は勝つことが出来、何とか1回戦突破。2回戦に入るも魚からの反応がなく両者ともゼロ。サドンデスも決着がつかずジャンケンで勝敗を決め、何とか勝利。3回戦になってもパターンを掴みきれず、万策尽き負けてしまい今回の試合は終了となりました。

これで韓国での悔しい思いは2度目となりますが、韓国トーナメントに参戦し、韓国アングラーの方々の熱量の高さ、技術の高さを体感でき素晴らしい経験となりました。

また今回のトーナメント挑戦によって得られたテスト結果を自身の経験に活かし、今後の日本のトーナメントにも応用したいと強く思いました。

2度にわたる韓国トーナメントで得た閃きを落とし込んだ新色や新開発のルアーに関しては今現在も日本のフィールドでテストを行っております。

実際に韓国発売までたどりつけるかは現地の魚の回答(反応)次第で未定ですが、今後も日本と韓国でのテストを繰り返し、来年のシーズン(2023年9月~10月)までに形にできればと考えております。

 

“答えは現地にある。”

今後は日本だけでなく、現地に赴き、そこで得た閃きを形にできれば、もっと世界のエリアトラウトシーンが盛り上がると確信しておりますので、今後ともTIMONの海外活動にご期待&ご注目ください。

最後に、今回の大会をケアしていただきましたTIMONの韓国正規代理店であるタックルショップLunker様、現地のアングラー様に感謝いたします。

ありがとうございました。

~タックルデータ~

12月参加の際のタックル

 

①ロッド:Tコネクション60L-Esrer(Tグラベル、マイクロクランク用)

リール:2000番

ライン:エステル0.4号

リーダー:フロロ0.8号

②ロッド:Tコネクション60L-S(ペピーノ・ダートラン用)

リール:2000番

ライン:エステル0.4号

リーダー:フロロ0.8号

③ロッド:Tコネクション62M(クロボール・ボトムルアー用)

リール:2000番

ライン:PE0.2号

リーダー:フロロ0.8号

④ロッド:Tコネクション60L(スプーン・パニクラ用)

リール:2000番

ライン:ナイロン2.5ポンド

 

2月参加の際のタックル

 

①ロッド:Tコネクション60UL-E(ティアロ用)

リール:2000番

ライン:エステル0.3号

リーダー:フロロ0.6号

②ロッド:Tコネクション60L-S(ペピーノ他)

リール:2000番

ライン:エステル0.4号

リーダー:フロロ0.8号

③ロッド:Tコネクション62M(メタルバイブレーション用)

リール:2000番(ハイギヤ)

ライン:PE0.2号

リーダー:フロロ0.8号

④ロッド:Tコネクション60L(スプーン・パニクラ用)

リール:2000番

ライン:ナイロン2.5ポンド

⑤ロッド:Tコネクション60UL(Tグラベル用)

リール:2000番

ライン:エステル0.3号

リーダー:フロロ0.6号

⑥Tコネクション62M-ST(メタルバイブレーション他用)

リール:2000番

ライン:PE0.2号

リーダー:フロロ0.8号