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コラム

大不漁から復活の兆し犀川でサクラマスキャッチ/藤村修司

 皆さまこんにちは石川県金沢市在住のTIMON STREAM FIELD STAFFの藤村です。

2022年シーズンの大不漁を経て、1年と348日(713日)ぶりにホームリバーである金沢市内を流れる犀川にてサクラマスをキャッチ出来ました。

 

 北陸河川のサクラマス釣りを取り巻く状況はここ数年悪化の一途です。特に中規模河川である私のホームリバー犀川は繰り返される治水工事と中途半端な大雨(中途半端で治まり私たちが安全なのは治水工事のお陰です)のため大淵が消え、川底の石の隙間に砂が溜まり水生昆虫が減り産卵場所も減っている様に感じます。更に日本海の海水温の上昇に伴い外洋に出る事の出来ないスモルトの話や、回帰ルートへの悪影響等の話などを耳に致します。その様な厳しい状況のため、昨年ついに犀川でサクラマス釣りを始めた年以来となる年間ボーズを経験しました(コロナ元年は除く)。

 

*犀川のサクラマス釣りのアンテナショップ上州屋 金沢金石店様提供。

犀川年間釣果データ。

2016年 105本

2017年 100本

2018年 86本

2019年 77本

2020年 8本(コロナ元年)

2021年 57本

2022年 9本

 

 迎えた2023年シーズン、1月13日にTINONのFacebookページにも書いた通り『2年連続の大不漁は無いだろう』と言う楽観と、『何が起きても不思議はないぞ』と気を引き締める思いでスタートを切りました。ところが3月1日の解禁日は土砂崩れの濁り水が入り川辺に立った全員が坊主、そこから20日頃までは濁りが取れず沈黙が続きました。そして友人の宮田氏が口火を切った以降桜が咲くころにはポツポツと釣果が聞かれ始めました。

 

 4月に入ってからは上州屋 金沢金石店様の釣果情報がサクラマスで賑やかになりだしました。しかし私と言えば土日は確実に川に立ち、平日も毎日朝練を欠かさない日々を過ごしていましたが結果を出せずにいました。それでも諦めも無ければ朝練をやめる気にもならなかったのは、上州屋 金沢金石店様の釣果情報の7割はTricoroll-GTであったためです。自分が釣らなくても皆が上手にTricoroll-GTを使って釣果を出している。コレって最高な事で、あとはテストをして世に送り出している自分が普通に使っていればいずれは釣れると考えるようにしました。

 4月29日土曜日、この日も朝から川辺に立つが何もなく野暮用のために10時に一度上がりました。お昼ご飯を食べネットで天気予報を確認すると夕方に一気に気圧が下がり小雨が降る予報になっていたので、そのタイミングをめがけて再度川辺に立つことにしました。ロッドはTコネクションストリーム86 M+、ルアーはTricoroll GT 72 DR-F、カラーはパラレルチャート、今現在一番自信が持てるセッティングでキャストを開始。そして、その時は来ました。ルアーを引っ手繰る様な強烈なアタリで幕が開き真剣勝負を開始です。ルアーの掛かりどころを確認すると抜群の状況であり、私がミスをしなければ確実に取れると判断しました。一度ネットに入れたサクラマスが暴れて出たときは、やってはいけない致命的なミスを犯したかと思いましたが何とか無事で最後には何とかランディングに成功いたしました。

 戦い終わればノーサイド。一生懸命戦ってくれたサクラマスに私からできる感謝は完璧なリリースをする事。釣りの矛盾であり本質だとも思う。釣りをしていた場所は足場が水面から4~5m高いところ、磯ダモで引っ張り上げた後は魚を水に戻すためひたすら走る。水に戻し、写真の撮れる場所まではネットに入れてウエーディングで水から出さず移動する。写真を手早く撮り、そしてリリース。元気に川へ戻ったサクラマスを見ていたら少し泣けた。私はリリース至上主義では無いし、掛かりどころが悪い場合はお命を頂く場合もある。ただ、少しでもこの釣りを長く楽しむため、世界的異常気象には敵わないかも知れないがリリースできるサクラマスはリリースするのも良いと思います。