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コラム

線と点 〜2021 トップウォーター最前線/中編〜

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トップウォーターゲームで注目のi字系と一点シェイクの2つのメソッドについて、ジャッカルチームのエキスパート達に解説してもらう”線と点”。今回は房総半島のスーパーロコとして独自のスタイルを提案し、様々なヒットルアーをプロデュースし続ける川島勉プロに、この2つのルアーについて語ってもらった。

 

Case of 川島勉
“スーパーロコの視点から考える線と点の可能性”

「まず、この2つのメソッドの使い分けは、広範囲に探る線の釣りがi字系。狭いスポットで寄せて食わせるのが一点シェイク。いまさら何を?と言われそうな基本的な分け方ですが、シンプルに考えています。」

川島プロのバスフィッシングは、フィールドの自然環境やバスやエサなどトータルの行動を考えて絞り込む基本かつ普遍的なパターンフィッシングをベースに、自分自身が楽しみたいルアーやメソッドを当てはめる独自のスタイルを構築している。

楽しむというスタイルだけがフューチャーされがちだが、その根幹となる経験と知識からの回答は明快で的を得ている。

では、具体的にどの様な使い分けをしているのだろうか?。

 

「自分のホームグラウンドである亀山ダムに当てはめて説明すると、横方向の動きで誘うi字系は各支流のバックウォーター(上流部)やサンドバーなどシャローにオイカワや産卵を意識したワカサギに着くバスに効果を発揮します。小魚がそういう動きをし始めた最初のタイミングが実績ありです。

方や一点シェイクは、寄せて浮かせるイメージなのでエサとなるワカサギなどがいれば少し水深があっても大丈夫です。具体的には初夏からワカサギが酸欠で水面で弱ってる時期はピッタリ。もし、ワカサギが少なくても虫系ルアーで釣るようなオーバーハングや岩盤もいいですね。」

「基本的な使い所は分かりやすいのですが、これが実際の現場だとかなり偏ることも事実。ずばり結論からいうと、亀山ダムではピクピクの方が自分は出番が多いです。これは房総リザーバー特有の理由による部分によるものです。

まず、ひとつめは水質です。水量のある支流の上流部は、水もある程度透明度がありますが、中流から本湖側になると濁りがあります。横方向で見せて追わせるi字系の釣りでは水の透明度が重要なので、どうしてもエリアが限られます。

もうひとつが、メジャーレイクであるがゆえのプレッシャーの問題です。房総リザーバーの中でも人気のある亀山ダムは平日/休日問わず出船しているボートが多いのです。i字系の釣りは横に引く距離がある程度必要なので、出来るだけディスタンスが欲しいところ。しかし、ある程度の範囲を独占することは難しいのが実情です。特にどの支流も上流域は人気ですからね。」

ここで川島プロは具体的に亀山ダムを例にあげて、ふたつのルアーを投入すべき状況とタイミング、さらにもう一歩踏み込んだ現状を説明してくれた。確かに関東屈指の人気フィールドである亀山ダムでは多くのアングラーによるプレッシャーと釣りをするスペースの確保は無視できない問題である。

この観点から考えるとi字系は不要なメソッドなのか?という問いに対し、川島プロはその必要性と具体的な出しどころを挙げた。

「i字系の出番が減るふたつの理由を説明しましたが、これは房総リザーバーでi字系が効かないということではありません。水の透明度があり他のボートが少なければ、むしろ皆が使っていないことで効果を発揮することは言うまでもありません。

そして、あまり知られていませんが、もうひとつi字系が効果を発揮するのが寒くなってきた時期。これは透明度とプレシャーというふたつの問題が解消される事と、水温が下がり冷たい水が下層に入ることでバスのポジションが浮くことでチャンスが生まれるのです。」

確かに低水温期にはプランクトンが減ることで水の透明度も改善されると共に、ボートが減ることで釣りをするスペースが確保しやすくなるのでふたつの問題は解消される。まさに通い込んだロコアングラーだからこそ知る隠し球といえるだろう。

余談だが、川島プロの自己記録である60cmのビッグバスを亀山ダムでキャッチしたのは3月下旬。まだ湖上にボートが少ない時期の美味しさを体験しているからこそのアドバイスだ。

 

「一点シェイクでピクピクを多用する理由として、高水温期に酸欠で弱ったワカサギを偏食する事を先にも説明しましたが、この状況下で釣果を伸ばすためのルアーローテーションを紹介します。それはジョイントタイプのポッパーであるボイルトリガーとの使い分けです。

ボイルトリガーは、この様な状況下を想定して開発したものですが、ピクピクが弱ったワカサギをイミテートした微波動でアピールするのに対し、ボイルトリガーの水飛沫と音はバスの捕食をイミテートしたものです。このポコッという音で、そのスポットにいるバスが捕食モードに入って活性が上がることもあるという訳です。」

この弱ったワカサギを偏食するパターンの展開として、ピクピクとボイルトリガーのローテーションを挙げた川島プロ。ボイルトリガーの開発等時から瀕死のワカサギパターンで捕食スイッチをいれるポップ音にこだわっていた川島プロにとっては、微波動でアピールするピクピクの登場は、ルアーローテーションの持ち駒が増え、結果としてさらなる釣果アップにつながる事となると力説する。

 

そしてタックルについてはこう語った。

「最近は手返しの良いショートレングスのスピニングを使っています、POISON GLORIOUS 2510ULという、6ftアンダーのショートモデルですが取り回しの良さと圧倒的に疲れにくいのも気に入っています。もともとレンタルボートの釣りではロングキャストする状況は少ないので、すごく快適です。」


【KAWASHIMA’S TACKLE/ピクピク】

ROD:POISON GLORIOUS 2510UL(JACKALL X SHIMANO)

REEL: ヴァンキッシュ 2500SHG / コンプレックス2500 F6 HG(SHIMANO)

LINE: フロロカーボン 3〜3.5lb

LURE:ピクピク65/78

趣味として楽しさを追求するバスフィッシングと、プロの仕事として結果を出さなければいけないバスフィッシングの両方を求められる川島プロ。i字系と一点シェイクというふたつのメソッドは川島スタイルの必要不可欠な一手となることだろう。

後編へつづく

*次回更新は6/8予定