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線と点 〜2021 トップウォーター最前線/後編〜

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トップウォーターゲームで注目のi字系と一点シェイクの2つのメソッドについて、ジャッカルチームのエキスパート達が解説するシリーズ”線と点”。最後を飾るのは秦拓馬プロ。国内外での様々な釣り経験をもち、経験に基づく理論とそれに基づいた実釣を自身のYouTubeチャンネルで公開するスタイルで、多くのアングラーから支持を受けている。今回はこのスーパーアングラーに、この2つのルアーについて語ってもらった。

Case of 秦拓馬
” 線でも点でも、キャスト前から釣るイメージは見えている “

「まず前提として自分は適材適所で使い分けているので、どちらが向いているという考え方はありません。普通は広範囲を線で狙えるi字系が効率が良いので最初に使って、ピンポイントで寄せて食わせるピクピクはその次に…という感じだと思いますが、これも使い方次第です。

自分がトップウォーターでi字系と一点シェイクの釣りをする場合の基本は目視した上でアプローチ、いわゆるサイトフィッシングです。それはバスを見つけるだけでなく、そのエリアの地形や障害物の有無、エサの存在やバスの回遊コースなどの情報を把握した上で、『このコースにルアーを通して、ここで口を使わせる』という明確なイメージを頭に描けています。

釣っているのは表層ですが、ソフトベイトやジグ同様に、ここぞというピンポイントを狙う『水面の撃つ釣り』です。漠然とキャストすることはありません。」

秦プロはi字系や一点シェイクは適材適所で使い分ける事を前提としており、バスの反応や状況に合わせて選択できるように、2本のロッドにi字系と一点シェイクの両方をセットするという。一点集中型でチェックに時間がかかってしまう一点シェイククのデメリットは、アプローチの時点で明確なイメージ出来ていことでピンポイントを集中し無駄を省くことで効率化を図っている。

この考え方に対して、さらに掘り下げて聞いてみた。

「サイトフィッシングというものの、バスそのものが見えなくても問題ありません。例えば、リザーバーなどではエサとなる小魚の群れを見つけて、その上を通して下から追わせるというパターンもあれば、岩盤から少し離れて浮いているバスに対して、岩盤ギリギリを通すことで追い込んで捕食するという本能を刺激するというパターンもあります。『見つける、追わせる、食わせる』の一連の流れを意識して、誘えるかが重要です。

これまでの『サイトフィッシング=目視でバスを見つけて釣る』という一般論から、もっと柔軟に考えることで新たな可能性は広がります。」

サイトフィッシングとは、バスを目視で確認した上でアプローチすることを意味するが、秦プロは更に大きなくくりで捉えている。バスをその時に確認出来なくても、着いている、あるいは回遊時にコンタクトするであろうと思われるスポットで、習性を利用したアプローチをすることでキャッチできるチャンスは増えるのだ。

常識を覆す”見えないサイトフィッシング”という考え方は、先鋭的なアングラーの間で注目されている。

2021年3月に奈良県津風呂湖で開催されたJBマスターズ戦で水中のオンタイムの様子を最新鋭の魚群探知機を駆使してアプローチし、圧勝したJACKALL/Revoltageチームの藤田京弥プロに戦略はその最たるもので、常識にとらわれない柔軟な発想が釣果につながる好例だといえる。

そしてタックルについて聞いてみた

「タックルはPOISON GLORIOUS 2610L-Sを複数本用意して、ルアーをセットしています。このロッドは前モデルの頃から多用していたもので、i字系やピクピク、虫系などもカバーするマストアイテムです。リールも同様に同じ感覚で使いたいのでヴァンキッシュのC3000MHGで統一。このギア比のセッテイングが自分に合っていて、釣れるリールだと思ってます。」

【HATA’S TACKLE/i字系+一点シェイク】

ROD:POISON GLORIOUS 2610L-S(JACKALL X SHIMANO)

REEL: ヴァンキッシュ C3000MHG(SHIMANO)

LINE: PE0.5号+ Red Spool(フロロカーボン)5lb

LURE:PIKUPIKU 65/78NAGISA 65SPi Shadクリオ

3回に渡って、i字系と一点シェイクというに対して、三者三様の考え方についてご紹介したが、共通しているのはこの釣りに対する信頼度の高さだ。

トレンドのひとつとして一過性のものではなく、国内屈指のプロアングラーが確固たる理論を構築し、実戦で釣果を残していることからも、そのポテンシャルは想像するに難くないことだろう。

次は、あなたが線と点のトップウォーターゲーム戦略で、新たな可能性を体感する番だ。