COLUMN
コラム

犀川解禁釣行(『トリコロール88FMD』 テストモデル・ロールアウト)

3月1日は私のホームリバーである犀川の解禁日であるが、今年の3月1日は、もっと重要で特別なミッションの解禁日ともなった。

その特別で重要なミッションとは...

新しく開発を進める『トリコロール88F MD』のフィールドテストの解禁日だったのです!

2月29日 【プロローグ】

四年に一度の閏日に、TIMON ルアーデザイナー藤松氏が沢山のルアーを携え我が家にやってきた。

無事に明日の解禁を迎えられる事を祝し、ビールを飲みながら食事をしていると、藤松氏が突然と「自慢の一品がある」と言いながら、沢山のルアーの中から三つのルアーを取り出した。

その内2つは以前にテストモデルを見せてもらい、開発が進んでいるのを知っていた『トリコロール72F MD』。

そして残った1つは...

二回り程大きな『トリコロール88F MD』!!!

『72F MD』の開発を知った時から、藤松氏に強烈・熱烈・猛烈に開発を直訴していた『トリコロール88F MD』が、突然と...予告なしに...

テストモデルと言う形になって目の前に現れたのです!!!

その佇まいは既に釣れるオーラを纏っており、一気に明日への期待が高まり、ビールの消費とお喋りのボルテージがグッグッと加速していきました。。。

3月1日 【エピソード1】

予定どおりの時間に起床し、予定どおりのエリアへ到着すると、既に10数名の釣り人がロッドを振っていた。

さらには、地元新聞社のカメラマンさんが、解禁の風景をカメラに納めるため川辺に来ており、忙しそうに釣り人の間を縫って撮影していました。

現場友達に状況を確認すると、朝から1匹だけ上がっており、なんとその一匹は、その友達が到着一投目でキャッチしたと言う事です。

その話を聞いた藤松氏は、早速『トリコロール88F MD』をセットし、我慢しきれないように下流の方へと移動していきました。

『トリコロール88F MD』のキャスト性能や泳ぎ等を藤松氏と確認したい思いもありましたが、引続き情報収集をしていると、チョッと離れた所で写真を撮っていたカメラマンさんが「そこの空いている所に入って頂けませんか」と私に声を掛けてきた。

カメラマンさんが指定したスペースは、釣り人的には空いていると思えない程度の距離感でしたが、カメラマンさん的、写真的にスペースとして目立つらしいので、両脇の方に了解を得てそのスペースに入り、思いもよらぬきっかけで釣り開始しとなった。

【エピソード2】

しばらくすると私と藤松氏のちょうど中間辺りで、そのエリアでの2匹目のサクラマスがキャッチされ、それに合わせる様に藤松氏が下流域から戻ってきた。そして開口一番「『トリコロール88F MD』でワンバイトがあったけど乗せられなかったよ。。。」と告げられ、一気に色めき立つ私や現場友達に、ワンバイトがあったルアーとして『トリコロール88F MD』の泳ぎが初お披露目された。

「キビキビといい動きしてるわぁ♪」

「トィッチの時の動きはどう?」

「フローティングだから良い感じにパタパタしているね♪」

「パタパタからの復元力は?」

「引き重りは?」

「そこら辺のテストは、九頭竜でやるべきじゃない、やっぱり!」

あれやこれやあーだーこーだーどーのこーの

色々なご意見ご要望を得られたお披露目が終わり、藤松氏はその場で釣りを再開した。

そして直ぐにドラマが訪れた...

「あ”~~~ぁチェイスがあった」

と叫びながら振り向き崩れ落ちていく藤松氏。

私と現場友達「触れた?」「魚はフックに触れた?」

藤松氏:「いや、触れてない!」

私と現場友達「チェイスはどこいら辺?」

藤松氏「足元で、グッアと出てグッアと帰って行ったよ!」

私と現場友達「チャンスはあるよ!」「絶対獲れるよ!」

僅か数秒の間に会話は終わり、藤松氏のフォローキャスト...

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

ルアーが流芯を抜け、諦めかけた藤松氏が再びこちらに振り向き、何か喋ろうとした瞬間にロッドが「グッーッ」と絞り込まれた!!!

「キターーーーー!!!」

藤松氏は、リールが逆回転するトラブルに襲われたものの落ち着いて対応し、暴力的な突っ込みにも数度耐え、ルアーが良い所に掛かっているのを確認した後は、一年ぶりのサクラマスとのファイトを十分に楽しみ、私や現場友達が見ている前で堂々と一気にサクラマスをネットに収めた。

その瞬間に皆の顔が笑顔になり、口々に

「おめでとう」

「すげ~ぇ藤松さん」

「トリコロールすげ~ぇ」

「初テストでキャッチだなんて~ぇ」

と祝福と驚きの言葉を口にした。

その一部始終を見ていた地元新聞社のカメラマンさんに、撮影を申し込まれた藤松氏は、解禁サクラマスをキャッチする幸運に合わせて、翌日の新聞デビューまで果たしてしまった。

【エピソード3】

満足した藤松氏が、サクラマスをキャッチしたばかりの『トリコロール88F MD』を私に貸してくれた。

自分のロッドにセットして足元で何度か動かし、見える範囲でのキャストをして動かし、徐々にキャスト飛距離を伸ばして感覚を掴んでいきます。

若干移動重心システムの修正が必要と感じましたが、ルアーの動きは本当に最高で、以下のような感じであり、昨夜我が家で見た時に感じた釣れるオーラは、釣れる確信に変わっていきました。

■TIMON製品比較

リーリングでの動き『ミディア88F 5番フックチューン』⇒『ヌルヌル』

『トリコロール88F MD』⇒『キビキビ』『パタパタ』

トィッチへの反応『ミディア88F 5番フックチューン』⇒『フッフッ』と最小限に揺れる

『トリコロール88F MD』⇒『バタバタバター』と大きなヒラを打つ

 引き重り『ミディア88F 5番フックチューン』⇒ 軽いため操作感が少ない

『トリコロール88F MD』⇒ 適度に重く操作感がある

 利用イメージ『ミディア88F 5番フックチューン』⇒見せて口を使わせる、低活性時

  『トリコロール88F MD』⇒反射で口を使わせる、高活性時

『静と動』『陰と陽』『プラスとマイナス』

「丸っきりキャラクターの違うサクラマスミノーだな~ぁ」とチョッピリ浮かれながらキャストしていると、私にそっと魔の手が忍び寄ってきました。

『グッン!』

一瞬『ドキッ』としてリーリングを止め、そっとロッドを立てても何も起きません。。。

そうです、根掛りです。

事もあろうに、1個しかない大事なテストサンプルを犀川のど真ん中に引っ掛けてしまいました。

通常のルアーの根掛りとは比べ物にならない丁寧さで、下流側に移動して引張ったり、ルアー回収器を借りてみたり、考えられる全ての事を試みてはみるもののビクともしません。

時間ばかりが経ち、他の釣り人達に迷惑を掛けそうな雰囲気のため、意を決して力技に出ると、ルアー回収器でラインが傷ついたのか、ラインの途中で『フッ』と切れ、呆気ない幕切れで『トリコロール88F MD』が殉職となりました。

私がかなり落ち込んでいると、

藤松氏より「確実に釣れることは分かったし」「また削り出せばいいよ」「今シーズン掛けてテストするんだから気にしなくて良いよ」

と声を掛けられ何とか気持ちを保つ事ができ、その後のミラクルへと繋がっていった。。。

【エピソード4】

藤松氏が朝にワンバイト取った下流へ釣りながら移動を開始です。

先頭の藤松氏は『トリコロール72F MD』をセットし、次に現場友達のK田君が入り、私は大好きな『ミディア88F 5番フックチューン』をセットし、空スポット毎に各自が数キャストして釣り下って行った。

そして、ワンバイト取った場所より上流での藤松氏の数キャスト目...

またしても...

「キターーーーー!!!」

と雄叫びが響き、直後から水面を割りサクラマスが暴れ狂ってます。

離れた場所から見てもかなりの大きさと認識でき、自分の釣りを止め駆け寄ろうとしたその瞬間、突然とラインテンションが抜け、一瞬遅れて藤松氏の緊張もスーと抜けた。。。

なっ、なんと痛恨のバラシ。

そして戻ってきた『トリコロール72F MD』を確認すると、フックが完全に伸ばされていましたた。

【エピソード5】

移動の順番から現場友達のK田君が、バラシの有ったその場所でキャストを開始します。

藤松氏から『強めのトゥイッチを掛けたらきた』の情報があったためか、バシバシとトゥイッチを掛け、次から次とルアー取替えての、切れ目の無い絨毯爆撃が目の前で展開されましたが、お魚からの反応が無く私の番が回ってきました。

キャストをする前に珍しく少しだけ考えてみた。

その場所にサクラマスが居たとしても、一度フッキングされ大暴れして逃げていった奴か、その大暴れを近くで見てナーバスになっていると思われる奴のどちらかで、どちらにしても高活性なサクラマスではないという事。

であるなら、派手な動きは敬遠される可能性が高いため、『トリコロール88F MD』の対極となる、セットしてある『ミディア88F 5番フックチューン』を更に地味に動かせば、何がしかの反応が有るのではないかと、本当に自分に都合よく考えをまとめてみた。

流芯の向こう側に『ミディア88F 5番フックチューン』を着水させ一気に潜らせます。

その後は、水圧を感じながらユックリ、ユックリとリーリングを行います。

一切のトゥイッチも入れずひたすらユックリ。。。

『ミディア88F 5番フックチューン』が水中の石積み護岸に近づき、最後の期待と諦めが交差した頃に『モゾッ...』とした違和感を感じた。

『また根掛りかな~ぁ』と思いながら少しだけロッドを立ててみると、もう一度微かだけど『モゾッ。。。』と違和感が届いた。

『根掛りだと恥ずかしいな~ぁ』と一瞬躊躇したけど、『勝負するならここしかないでしょう』と気合を入れて、渾身の合わせを喰らわした!

『ジィーーーーーー』ドラグが唸り、全身に根掛りとは全く違う力強い生命感が届けられた!

「キターーーーーッ!!!」

間髪入れず問答無用のトルクフルな突っ込みで走られ、根掛りした時に短くなったラインが見る見る無くなっていき、スプールの見える面積が広がっていきます。。。

ラインエンドまで走られ、ハイ・サヨウナラだけは洒落にならないので、ラインテンションの抜けだけには注意を払い、サクラマスを追い掛けるように土手の上を歩きラインを巻き取った。

寄せては離れ、寄せては離れの一進一退の攻防が繰り返され、一旦ランディング準備のため入水したのに走られ、再度土手に登り直しをしたりしながら、着実にサクラマスとの距離を縮め、ランディング前には相当グッドサイズであることを確信した。

そしてランディング...

私のネットに納まったのは、61cmの銀色に光るサクラマスでした。

【エピローグ】

『トリコロール88F MD』の生まれながらの完成度は驚くばかりであり、そのルアーをワンシーズン掛けてブラッシュアップすると考えるだけでワクワクする。

そして『ミディア88F』。

私のフェバリットルアーであるが、リジット方式であるのが少しばかり使いにくいところ。

『トリコロール88F MD』と『ミディア88F』で最強の『静と動』『陰と陽』『プラスとマイナス』となるよう、重心移動の搭載を検討してくれないかな。