COLUMN
コラム

「SABULL-サブル- サーフ専用ロッドの開発秘話」

こんにちは、宮城県の伊賀です。

今年7月に発売となった、サーフ専用ロッド”SABULL”。

今回はそのSABULLロッドが出来るまでの開発秘話を皆様にお届けしていこうと思います。

私自身、初めてロッド開発に関わってみて、ロッド作りの難しさを改めて実感したのと同時に、

納得いくまでとことん追求して納得のいくロッドを皆さまにお届けできることを大変嬉しく思います。

「土台作り」

開発がスタートしたのは、去年の5月。

ジャッカル開発スタッフから1つ目の質問は、

「伊賀君の理想のロッドは?」

と単純な質問ですが、この時自分にとってとても重みのある質問に感じました。

自分がロッドに求める課題は4つ。

「感度、軽さ、バランス、長さ」です。

サーフゲームは少し特殊なので、この4つが個人的には必要不可欠でした。

その次に聞かれた質問は、

「2ピースか3ピースか。ガイド素材は何が良いか。」など、ロッドの機能面についての質問です。

10ft以上あるロッドなので他メーカーでも3ピースを出している所は多く、

2ピースか3ピースどちらにするかとても悩みました。

2ピースだと感度や強度面は良いが移動面を考えたら、持ち運びにくい。

3ピースだと移動面は問題ないが感度や強度は少し落ちてしまう。

サーフゲームに最も必要だと考える「感度と強度」を優先し、最終的に2ピースという選択に。

ガイド素材は、コストと軽さの面を考えてステンレスフレームのKガイドを採用し、サイズや位置など

細かいところまで番手ごとに最適なバランスを試行錯誤し、ベストだと言えるセッティングが出るまでテストを繰り返しました。

「試作ロッド作り」

土台作りに約1ヶ月。ここからがさらに難しく、

いかに開発スタッフと協力して進めていくかがキーポイントになります。

ここで1つ課題が、何機種作るのか。

「遠投系の掛け重視、操作性の高い乗せ重視、サーフフィネスの軽量重視」の3本は、サーフゲームを

極めるにあたって必ず必要となると考え、JACKALL開発スタッフやフィールドスタッフ長坂隆矢氏との意見交換の末、初回ラインナップの番手、機種を煮詰めていきました。

また、開発を始めるにあたって、見た目よりもロッド自体の本質的な部分を重視した

本物の釣れるロッドに仕上げたい。シンプル・イズ・ベストを追求したいと考えました。

シンプルにと言うのは簡単ですが、シンプルが実は1番、、、難しい。

シンプルであるということは

より本質にせまった「質の高い」物を作らなければいけない。

そんな現実にジャッカル開発チームと協力して真っ向から立ち向かう本気の”モノづくり”をする上で、必要となったのが最新技術である

世界最強クラスの強度を誇るカーボン素材【TORAYCA®︎ T1100G】と

ブランクは東レ(株)の「ナノアロイ®︎」テクノロジー適用樹脂を採用した

ジャッカルNEWオリジナルブランク設計、これを採用することでした。

そして、仕上がった”ファーストサンプル”の試作ロッドがこちら。

手に持った第一印象は、、、正直な感想としては

「確かに、軽いし、感度もいいけど、、、まだ足りない。」と思いました。

自分のサーフスタイルは、距離を出して沖に居るフレッシュな魚を狙うスタイルです。

沖をサーチすると言うことは、4つの要素(感度、軽さ、バランス、長さ)がより必要になるので、

「MとMHに間の硬さで、でも少しMHよりが欲しいです。ですが、ブランクス全体をMHにしてしまうとパリパリになってしまうので、ティップの方だけほんの少し硬いMでお願いします」と伝えました。

2本目の試作ロッドが到着。

手に取ってみると、1本目より遥かに良くなった理想に近いロッドになりました。実際にサーフからキャストしてみると、バットからティップにかけてしなやかに曲がってくれる理想系のベンドカーブに。

ここでもう一つ気になる要素が”ロッドの長さ”。

この時は10ft6inでサンプルを制作していたのですが、開発スタッフにお願いし、もう少し長さを伸ばしたものをリクエスト。様々な長さをテストして、より理想的な操作感と飛距離の安定感が出るレングスを突き詰めた結果、、、

最終的に、10ft9in.という長さに行き着き「SB-109MMH」が完成。

109MMHと同時進行で進んでいたのが、「SB-107MLM」です。

MLMのコンセプトは、ミノーやシンペンを主に使用する方に向けた操作性の高い乗せ重視のロッドです。

ここ数年のサーフゲームを見ていると、プラグルアーを軸とすることが多く、プラグを正確に操作できて、プラグのパフォーマンスを最大限に引き出せるロッドが必要不可欠。

そのためにこの番手に求めたのは、MLMもMMH同様、バイトを”弾かないティップ”です。

ジグやワームはボトムをとりながらアクションしますが、ミノーやシンペンは常にリーリングをしているので、どうしてもルアーを弾いてしまう事がよくあります。

MMHでも出来なくはないですが、少し硬い。MLロッドにしたら弾く事は減るがファイト中のだるさとパワー負けしてしまう。

考えた結果、バットとティップの硬さを変える事にしました。

【写真1】

【写真2】

(写真1がMMH  写真2がMLM)

ティップは、ルアーの動きに対してクィクィと食い込んでくれるMLパワー。

バットはキャスト時ルアーの重みを乗せながら飛ばし、ファイト中は魚に主導権を握らせないMパワー。ロッドの長さは、河口域でも使用できるよう10ft7inに設定し、完成したのが「SB-107MLM」です。

サーフフィネス用の「SB-108ULML」についてはフィールドスタッフ長坂隆矢が後日、紹介してくれると思いますので、是非そちらをご覧ください。

「完成したSABULLロッド」

3本のサーフ専用ロッドを実際に使用してみて思う事は、”これこそサーフロッド”と思いました。

釣り人がロッドに求める事、は皆同じだと思います。

「ここがこうだったらいいのに。もう少し柔らかい方がいいな。」等、ロッドへの要望や改善点を考え、より上を目指して日々釣りに臨んでいく中で、その”より上”を実現したのがこの”SABULL”ロッド。

現時点でのJACKALL、そして私のサーフに求める理想的な”答え”とも言える自信作。

皆様に納得していただけるロッドになっていると思いますので、是非このロッドで

より上のサーフゲームをご体感下さい。