COLUMN
コラム

自動的に釣れる ″フリックカーリー″ の開発秘話

皆さんこんにちは、ジャッカルプロスタッフの平村尚也です。
今回はフィッシングショーでも皆さんにご覧いただいた、
“フリックカーリー” の開発秘話について書きたいと思います。

カーリーテールは釣ってもらう為のワームとしてガイドでは欠かせないものです。
今でも市場には多くのカーリーテールが存在していますが、
単純にカーリーテールと言っても様々なサイズもあり、目的もそれぞれに違うのです。
私が求める釣れるカーリーテールというのは、ストレートに泳いで、
1/16ozから1/4ozの実釣ウェイトで泳ぎ、ボディをバイブレーションさせること。
そして、シンカーやロッドワークで動かした後に、
フォールでもテールが自発的な動きをする事です。
これは分かりにくいかも知れませんが、要するに「使い手を選ばずに、
ワームが勝手に仕事をして釣れてしまうワーム」を作りたかったのです。
では、その勝手に釣れてしまう原理を紹介しましょう。
ここからはマニアックな話になるので、理解してもらうのが大変かも知れません。
 
① 動かす為の「テーパーテール」と計算し尽した「幅」「曲げ角」「厚み」

まず、カーリーテールはロッドワークよりもシンカーだけでフォールした時に動くことが重要です。
さらに動き出しが悪いと、テールが抵抗にならずにフォールが早くなり釣果が落ちてしまうのです。
そのために重要なのは早い動き出しです。
早い動き出しを実現する為には、水を掴むことが必要となります。
そのため、ボディから続くテール部分の幅は途中から膨らむように幅を広く設定しています。
次に重要なのは、テールによる波動です。
これは周囲の水を掻き回すことでバスの側線に訴えかける為に必要なことです。
これを実現する為にはテールの厚みを持たせることが必要ですが、
不必要に厚くすると、逆に泳ぎ出しが悪くなってしまうという反比例の関係にあります。
そこで早く泳ぎ出し、さらに波動を出す為に、設計したのが「テーバーテール」となるのです。
テーパーテールはボディとの付け根付近では厚みを薄くしてあり、
テールの中央付近では厚みを増しています。
これにより「素早い動き出し」と「強いテールによる波動」を両立しているのです。
 
② バイブレーションを増幅させる曲がったボディ

カーリーテールはテールの曲がり角度、テールの幅、厚みによって、
テールからボディ側へと振動を伝えることが出来るのです。
あまり気づかれていませんが、よく釣れるカーリーテールというのは、
よく観察するとテールが動くとボディ側がバイブレーションしています。
しかし、このバイブレーションを大きくし過ぎると、
真っ直ぐ泳がないカーリーテールとなってしまいます。
そこで適度なバイブレーションをテールから伝えると同時に、
ボディがバイブレーションした時にボディ側の波動を出来るだけ大きく水中へ伝える為に、
フリックシェイクと同様の曲がったボディを採用しています。

これによって直進しているにも関わらず、
周囲の水をボディ側でも大きく振動させることに成功しています。
そのため、細くて喰わせやすい形状にも関わらず、水流波により大きくアピールすることになり、
釣果が上がるという仕組みになっています。
 
③ 自発な動きをもたらすソフト素材とソルトバランス

カーリーテールはロッドワークとシンカーに引っ張られる時に動くのは当然の事です。
ただ、その当然の事も出来ていないカーリーテールも存在しますが、それらは当たり前ですが釣れません。
しかし、さらに釣果を上がる為には引っ張られた後、
慣性力だけで前へ進む瞬間やワームのボディ重量だけで、
フォールする時にも微妙にカーリーが反応することが重要です。
そのために採用したのが、フリックシェイクの素材です。
フリックシェイクはもう説明不要なぐらい全国的に釣れるアイテムですが、
そのボディ形状と共に、素材が非常に質がよくソフトです。そのソフトさを採用することにより、
このカーリーテールも引っ張れた後のステイからフォールでも微妙にテールを動かしているのです。
そのとき、フォール速度を制御するのがソルトの含有量です。
ボディが自然に落ちるように、
そして、テールが微妙に反応する速度まで計算してソルト含有量を計算しています。
 
いかがでしょうか?非常に分かりにくい説明かもしれません。
ただ、ここまで踏み込んで設計していますので、もう自動的に釣れるように出来上がっているのです。
ですから、難しい理屈が分からなくても、
ダウンショットやキャロ、ジグヘッド、ネコリグなどで使えば、ほぼ自動的に釣れてしまいます。

世の中に同様のカーリーテールというのは余るほど発売されています。
ですが、この釣れる要素が1つ、2つだけ含まれているものが多くて、
なかなか全ての要素が入った製品というのがないというのが私は感じていました。
そこで、長年の経験から今回カーリーテールの釣れる要素を全て踏み込んで入れて設計させてもらいました。
あとは私も含めて皆様と共に実践で釣るだけです。
「自動的に釣れること」「あまりに釣れること」に驚かれることを期待しております。
 
また、フィッシングショーOSAKA2016の会場で撮影を行った、
解説動画も公開されていますので是非こちらもご覧ください