COLUMN
コラム

デンプシージャック開発秘話

皆さんこんにちは。 ジャッカルプロスタッフの藤田夏輝(@natsuki_fujita)です。

今回はデンプシージャックについて、アイデア誕生から発売に至るまでの開発秘話をお話したいと思います。

発端は現場でのひらめき

思い起こすこと3年半前、僕がまだジャッカルに入社したての頃、当時ワーム工場を担当していた僕は毎日のように会社から1分の池で思いついたルアーを投げていました。

当時はフロッグを小さくしたような、ドッグウォークする水面系のワームがトレンドで、よく釣ってました。 その時真っ先に考えたのは『水中でもキレイにドックウォークしたら釣れそう』でした。

まずはRV-LASHOUR3.8”にネイルシンカーを入れて試してみましたが、水面をドッグウォークする為のルアーなので重りを入れた動きはあまりキレイではありませんでした。

次に試したのがファイボス3.8“の腕をカットしてボディの中身をカッターで削ったものでした。 これが思いのほか良い動きで何匹か魚はキャッチしていました。

しかしコレだと移動距離が長過ぎるのと、中身を削っているので軽くて飛距離が出せず、狙いたいスポットへのキャストも難しいものでした。 それでも明らかに釣れるルアーになると確信していた僕は、入社間もないのでビクビクしながら企画書を起こし提案していました。

必要性を感じたJBTOP50霞ヶ浦戦

時は過ぎ2022年夏開催のJBTOP50霞ヶ浦戦。

プリプラクティスの5日間でこの釣りが明らかに反応が良く、毎日1500gオーバーを複数匹キャッチできてました。 (試合には何個もファイボス改を作って用意したが、試合3日間とも激荒れで機能する状況ではなくなってしまった。)

試合後、弟でありプロスタッフの京弥も前の北浦戦で同じ釣りにポテンシャルを感じて試合に望んでいたことを話しました。2人で「これは作りたいね!」と話しました。(霞ヶ浦戦はバスマスター参戦の為、京弥は欠場していた。)

3年の時を経て開発がスタート

開発がスタートしたと同時にこのルアーに求めるモノを打ち明ける。

まず重要な点が、短い移動距離で『左右のみ』首振りをする事と、『アクションを止めてもすぐに沈まない事』でした。 キレイに首を振って、止めたり動かしたりメリハリが必要なのですが、どうしても首振りをさせると上下方向に動いたり、グリンと回ってしまう瞬間にバスの反応が鈍り帰ってしまう。 さらに、上を向いて追ったバスに対し、スッと沈んだ瞬間にバイトまで至らないバスもたくさん見てきたからです。 ただ水中をグリングリン動かすなら別のルアーでいいんです。

そこで開発チームの北村と行き着いたのが『頭から扁平ボディ+一点集中シンカー』『サスペンドに近いスローフォール』でした。

致命的欠点とその克服

そうして出来たファーストプロトはいきなり100点の動き。

申し分ない理想の動きとスローフォールでした。 フィールドでテストすると思い通りの答えが返ってきて、『まるで魔法のようなルアーだ』とまで感じる程のバイト数でした。

と、ここまで順調に開発が進んでいましたが、初めて壁にぶつかる。

それは『フッキングの悪さ』でした。

当時は空気室の小さい中空ボディで硬めの素材だった為、フッキングの際に口の中からツルンと抜けてきたり、扁平ボディ+シングルフック故にニ度刺さりてしまう事がわかりました。

ここで導き出したのは『限界まで柔らかいエラストマーと限界まで空気室を広げる』でした。 ダブルフックを搭載できるフロッグタイプも検討していましたが、ワームフックで交換出来るようにしたかった為、ボディの素材や形状でカバーする方向性となりました

とにかくフッキングの際にボディがクチャっと潰れることと、不運で二度刺さりしてもすぐに針先が出てボディがズレることが重要でした。

その後にセカンドプロトを作成し、何度も何度もフッキングテストを行いました。 潰れるためのリブが幾つも配置され、フックポイント付近は極薄に設計しました。

フィールドでの経験をもとに遂に完成

こうして完成したデンプシージャック。

エビや小魚をカバー際で探しているバスに対して、スナッグレス性能も非常に高いので恐れずバンバン打ち込んで、ネチネチ誘ってみてください。

皆様の思い出に残る一尾をデンプシージャックでキャッチして頂けたらなと思っています。

Dempsey Jack / デンプシージャック

Length:42mm(ボディ)
Weight:約4.5g
Type:Slow Sinking
Quantity:2
本体価格:¥1,320(税込)

製品ページはこちら→https://www.jackall.co.jp/bass/products/lure/soft-bait/dempseyjack/

ジャッカルステーションの動画でも解説していますので、ぜひチェックしてみてください。