COLUMN
コラム

レーザーゴールドヤマメ

 山形県の某有名サクラマス河川から帰って来た。こんな遅い時期にサクラマス河川へ遠征するなんて事は今までにないのだけど、希望していたレーザーゴールドヤマメ、レーザーギンクロ、ギンクロ(銀箔)が届いたと言うことで、テスト釣行なんぞに出向いてみようと思い立った。

なんで、こんな釣れそうもない時期にわざわざ遠征してテストするのか?

それは地元以外のサクラマスの河川で一番よく知っているからで、それに地元は鮎ラーでいっぱい。まだ鮎解禁になっていない東北方面でやるしかなかった。

届いたサイズは83だし、きっと、司令部としてはサクラマス釣れってことなんでしょう。

銀色のサクラマスって奴は要するに産卵目的に遡上して来るんだけど、だいたい5月中旬までには海から川に入って水量と湧水の安定した中流域で越夏するわけよ。

日本のサクラマスはほとんどがメスだから腹に卵をたっぷり持つわけなんだよね。

でも、魚体が銀色のうちはまだまだ卵も未成熟なんだよね。

未成熟ってことは体内に蓄えた栄養を使って成熟させるか、摂取しなければならないわけよ。

ほとんどのサクラマスは体内の栄養を使い、摂取なんてことはしない。今頃の時期には腹がペチャンコなんだ。

それで早い時期に釣れるサクラマスは河川に入っても栄養を摂取しなくっていいくらいでかいんだ。

頭のいいサクラマスもいてね、まっ、40~50cm半ばと小型だからなんだけど、5月中旬ぎりぎりまで海にいて栄養を摂取している。

また、海と川の両方である汽水域で越夏をしてブナ模様が入った状態で秋の台風などの大雨を利用して一気に上流まで遡上しちゃう奴もいる。これは40cm台が多く、雄も多い。

完璧に胃のない状態で遡上して来るので釣りの対象としては実に難しい。

それでも30本くらいはなんとか釣るようにしているけど、禁漁の1週間ほど前からはどうやっても釣れなくなる。

銀色のサクラマスは地域によって、また水温によって違うだろうけど、大概7月中には鱗を溶かし、体内に吸収して成熟の為養分にする。

三年魚が鱗を溶かすこと、そしてトラウト特有のヌメリを出さないと言う事は、完全に細菌からの防備を解除すると言う事になり、死を覚悟で役目を果たす時期であると言う事になるんだ。だから産卵時期には魚体が腐り始める。

汽水域からの奴と中流域で鱗を溶かしながら越夏した奴が、それ以降の台風を皮切りに上流への遡上が一気に始まるってわけなんだけど、この鱗を溶かしている途中の中途半端な魚体のサクラマスを釣ったことがない。って事は、この7月頃のサクラマスは釣り難いってことなんだ。

説明していることはシーズンを通じて釣りから学んで、感じた事で文献から持ち出した訳じゃない。

毎年、年明けから禁漁までサクラ釣りをして来て、自分が釣ったサクラマスから釣る為の知識を貰う。そうして、自分自身で生態を理解して、釣り上げる方法を導く。そうじゃなきゃ胃袋がない、食う必要がない魚なんで容易に釣れないって。ルアーの動かし方ひとつとっても川によって、相手によって、時期によって違うし、第六感まで使って釣りをするのに頭で理解する方が難しい。オジサンたちのヒーロー、ブルース・リーも言ってたろ「考えるな! 感じるんだ!」そうなんだ、考え出す時は釣れない時で、感じる時が釣れる時なんだ。どっちも野生じゃないと。

成熟度も後期にさしかかって銀色のサクラマスとしてではなく、褐色と燻し銀の精悍な本鱒として出合う。

だが、中には7月半ばまで何をしてたんだか、まだまだ銀色のサクラマスのまんまで痩せてない奴がいる。サイズは春先のよりは小さいが、こいつが激しくルアーを追う。状態の良い河川ならではなのかもしれない。

話が長くなったが、そんな遅い遡上の奴がまだいるはずじゃないかと、この川にやって来た。

 今回はギンクロのプロトも上がって来たんだけど、基本的にギンクロは春先のサクラマス用で、冷水期にパワーを発揮する。水の状態の悪い時にはゴールド系であるけど、水が豊富で澄んでいれば、絶対的にギンクロで通用する。

以前、産卵の為に海から遡上してきた大型魚はどんな色に反応するかのか?ってことで、ドッグサーモンでテストしたことがある。もちろんサーモンの時期だから水は超クリアーで低水温。

メーカーに同一モデルで各色用意してもらって試した。アクションはリーリング無しのトゥイッチとナチュラルドリフトだ。

半端でなく釣れたのはギンクロオレンジベリーだった。次がブルーバック。

アクションを加えればどんなカラーでも反応はするが、流すだけで食うのがギンクロと言う事になった。

それも、まだ銀色の元気いっぱいのサーモンは勿論、魚体が腐り始め、穴が開いて骨が見えて、死を目前にしたサーモンも食って来た。

勿論、そんな死に損ないが口を使うなんて思ってないので驚いたし、いじめる気もまったくない。

まぐれだろうと思っていると元気なのに混じってやっぱり釣れてく来る。

あ~これなのか~~。この色なんだ~~。目覚めの時だった。

それからはサクラマス釣りに使うミノーの色に迷いがなくなって、さらに釣れるようになった。

とは言え、それをスプーンやフライに用いてもあまり効果がない。あくまでもミノーのお話。

今回上がって来たギンクロのプロトはサクラマスの前にサーモンでもテストしてみたい。

 今回は待望のゴールドヤマメだ。正確にはレーザーゴールドヤマメ。惇也くん式に言えばゴールドレーザービームヤマメだ。

ネットで、この川の某ダムの放水状態やダムの貯水量などをライブカメラで常に観察している。この放水状況如何で5月以降の釣果が決まると言っても過言ではない。

現状はまとまった雨も少なく貯水量も乏しい、しばらく放水をしていない状態が続いているので、川の状況も察しが付く。厳しい状況と以外言いようがない。後は月との関係と天気に頼るしかない。

上流から下って、水質、匂い、底石、水量、水流、白泡などでチェックする。

上流側は水が綺麗に見えるが酸素濃度的には薄そうである。下流はさらに良くない。

そこで取り出したるゴールドヤマメ。あんたの出番です。今回はプロトを2個送ってもらったのですが全部ロストして参照とするものが無くなると困るので1個しか持って来ていません。

根掛かりは救出あるのみ。大河相手にとんでもなくみみっちい。ほんとに回収できなかったらテストも失敗。

サクラマスの巨体で、水がつまって酸素濃度の薄い所で口を使って来るとは当然思えないので、ガンガンの白泡の瀬を狙う。おそらく、あってワンチャンス。条件を味方につけなければノーバイトが普通だろう。

足が棒になるまで探し回るしかない。

夏サクラは巨大な沈み石の下か、流れのある壁に張り付いているか、大石がゴロゴロしているガンガン瀬にいる。当然のように投げて投げて、投げまくって、ジャークジャーク、トゥイッチトゥイッチ、疲れてただ巻き~~。

驚いたことに、ヤマメが釣れてくる。時には群れで追いかけてくる。別にゴールドヤマメじゃなくっても、何でも来るんじゃないの~って、違うのを投げるとなんにも反応しない。

ムムム~~~!?こいつ、もしかして、出来る奴なんじゃない!?83なのに10cmから25cmまでガツンガツンアタックして来る。フックがでかいから全部が乗るわけじゃないけど結構な数になった。サクラ狙いだから写真は撮らずにいたのだが、これが大失敗。渓流に入る破目になってしまう。

浮力のあるラインを選択してあるので根掛かりは防げていたが、この根掛かりが今回の思わぬ事件を巻き起こしたからだ。

初日の夕方6:30、中州の反対側から零れ落ちる流れ込みのある瀬で待望のサクラマスを掛けた。

ガシッ!引き込まれたルアーを思いっきり合わせた。フィッシュオン!浅いので銀色の魚体を見せながら抵抗する。距離は7~8mと近い、ミノーを横に咥えている。腹のフックをがっぷりだ。

よーし、よーし、今、獲ったるで~!と思ったら、ガシッ!いきなり止まった。あれ~岩の下に入ったか~??

サ、サクラがいない!!・・・驚き、桃の木、川底の木~~!!

こんな逃げられ方もたまにある。結構危険回避をする能力を持っているのだ。

逃げられたけど、やったやんゴールドヤマメ・・・それも図抜けてたやん。これ、ミディアでも使いたいわ~。

翌日、天気が崩れる予報だった。本流では気圧の影響で雨の降る前は釣り難い。

何度も経験しているので、4時間ほどで早々に諦めた。

とうとう写真が無いので、帰路の途中、渓流の岩魚でゴールドヤマメを試してみることにした。

魚がいるかいないかパイロットに使ったミディア53の金アユでよく釣れた。そして、でかい奴がいそうな大きなポイント、深い強い流れではこのゴールドヤマメ(83)を使った。さすがに渓流の岩魚には83はでかいのかルアーの周りで次々に岩魚が反転して消える。でかいのはいないみたいだな。

ルアーのサイズさえあっていれば入れ食いかも。だいたい口よりフックの方がでかい。

そのうち掛かるだろうと暢気にやっていた。

そろそろ金アユの実力が認められて来たと思うが、このゴールドレーザービームヤマメもかなり有力なアイテムだ。

まず、秋の本鱒釣りに間に合わせんといかんな。無理かな・・・。取り合えず惇也くんの分だけなんとかしてください。