COLUMN
コラム

優勝を引き寄せたフック選択のロジック/藤田夏輝

皆さんこんにちは、プロスタッフの藤田夏輝です。

先日のTOP50第4戦桧原湖にて優勝することができました。

応援いただきました皆様のお気持ちが力になりました!ありがとうございました。

今回はロジックに基づいたフックセッティングが釣果を伸ばすカギとなったので、余すことなく公開していきます。

ビッグスモールを狙った3つのパターン

今回スモールマウス狙いで反応の良かった釣りは3パターンありました。

1つはキングジミーヘンジを使ったシャローのスモール狙い

この釣り方、プリプラではシャローにビッグスモールが多かったのでかなり効果的でしたが、試合は減水が激しくシャローがパワーダウンしたため使わなかった釣り。

 

もう1つは、沖の表層付近に浮くバスをエリーゼのホバストで狙う釣り

これは毎年のスモール戦で定番になりつつありますが、強いコンフィデンスを持てることから試合で採用した釣り。

 

そして今回のプラクティスで最も研究したビッグスモール(1000gサイズ)を狙う釣り

例年のような“秋感”があまりなく、まだ夏っぽい湖の状況に良かったのが、シャッドシェイプなワームに2ozのシンカーをセットしたダウンショットリグでした。

この釣りはボトムに向かって高速で逃げるベイトを演出するためのリグなのですが、シンカーのウェイトが重いのでタックルはRevoltageのC-70MH-Rにレッドスプール14lbといった、まあまあ強めのセッティング。

通常、アプローチアングルが大きく、強いフッキングパワーで深く刺すことができるスクイーズを選択するのが良いと考えられますが、この釣りに適したフックはベスティーでした。

ベスティーは今年発売したノーガードマス針ですが、フィネスタックルに合わせたフックとして開発しました。

一見、アンバランスかと思えるセッティングですが、実はこのセッティングが数少ないビッグスモールを獲るためのキーポイントでした。

距離+水深によるフックのアプローチアングル思考

性質としてスモールマウスは非常に警戒心が高く、ボートとの距離が縮まるほど食わせにくくなります。

特に百戦錬磨のビッグスモールにはこの性質が顕著に表れます。

この釣り方はリグの重さから魚に警戒されにくい状態で遠距離でのアプローチが可能であり、スモールマウスを狙う上で理に適ったリグと言えるでしょう。

ただ、この釣りで最も難しいのがフッキングでした。

最初はSQueeZEのガードを切ったものや、STLAZERといったアプローチアングルが大きく、軸線径が太くて強いものを選んでいました。

しかし、アプローチアングルの大きさから、遠距離+糸ふけの状態で巻き取り、魚の重さが乗った時に“ツツッ”という感じで口の表皮を滑ってくる感覚でフッキングできないケースが多く発生しました。

これは想定していましたが、アプローチアングルが大きいがゆえに、25mを超えるキャスト距離+水深の糸ふけから、鬼巻き取り+全体重を乗せるような鬼フッキングでも糸ふけを取り切れないことにより、しっかりとしたフッキングパワーを魚に乗せきる前に滑ってしまうといったことです。

よく、高比重ワームを使用したボトムジャークの釣りでも似たような経験をされたことがあるのではないでしょうか。

高比重ワームの釣りではSCYTHEのアプローチアングルであれば、かなりの高確率でフッキングを決めることが可能なのは実証済み。

ではこの2ozヘビダンでもSCYTHEをセットすればいいのでは?となるのですが、そもそもワームの動きにフレキシブルさが無くなり、バイトに持ち込めないケースが発生したために、マス針タイプのフックにチョンガケがベストセッティングでした。

ならば、「チョンガケでワームを保持しやすく、一般的なマス針型フックよりもアプローチアングルを小さく設計したBESTIEが良いのでは。」と思い、試していくとこれが大正解。

俗に言う“弾く”ことが無くなり、遠距離でも鬼巻き取りをすれば自動的に掛かってくれるので、安心した試合運びができる状態まで持ってくることができました。

また、フォール中に食うことも多いのですが、アプローチアングルが小さめのベスティーは、バスがワームを吸い込んだ瞬間に2ozというヘビーシンカーの生み出す運動エネルギーが初期的なフッキングを完成させ、それを感知した僕自身のフッキング動作まで繋げることもできました。

これは単なる2ozという静荷重の圧力エネルギーではなく、加速度がついているので底方向への結構なフッキングパワーになるのです。

ベスティーはもともと、フィネスタックルに向けた(近来のPEタックルを想定した)フックとして設計しましたが、最大サイズの3番の軸線径とPSM(プロスペックメタル)の強さが相まって、何本釣っても伸びることなくMHタックルでも難なく抜きあげられる、まさにベストセッティングでした。
(シンカーの重さでバレやすいリグであることから、試合中も800gクラスは全部抜き上げランディング。)

こうして迎えた試合の結果は優勝。

もちろんラージマウスを狙って3日間毎日キャッチできたことは大きいですが、時間が限られたトーナメントではかなりリスキーな展開だけあって、オールスモールでも確実に勝負できる状態に持っていけてこそのラージ戦略となります。

(ちなみに、最終日のラージマウスもドリフトフライ2.5エラストマーにベスティーの3番でキャッチ。サイトフィッシングの距離でもしっかりとフッキングしてくれるのが強み。)

そんな研ぎ澄まされた世界で自信をもって設計したベスティー。

実際のフィールドでその強さを体感してみてください。