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SCYTHE誕生のお話「設計のきっかけは些細な不満点」

皆さんこんにちは。ジャッカルプロスタッフの藤田夏輝です。

今回はまもなく発売となる、ジャッカル初のオフセットフック、SCYTHE/サイスの設計思想をお話ししたいと思います。

設計のきっかけは些細な不満点

この写真を見て、まず目を引く部分はこの鋭角に曲がったベンドデザインだと思います。

商品名であるSCYTHEとは、『鎌』という意味を持ち、鋭角に曲がっている部分が鎌のように見えることから名付けました。

オフセットフックと聞けば、まず思い浮かべるのはR状にデザインされたベンドカーブだと思います。

私自身も様々なオフセットフックを使ってきましたが、どうしても気になる点というか、改善することはできないのか?という些細な不満点がありました。

使用中にワームがベンドカーブに沿ってズレていき、フックポイントが露出してワームがへの字になってぐるぐる回って帰ってくる状態を経験されたことはありませんか?

特に最近は高比重ワームを使った一投が長い釣り方がありますが、この現象が起こると『今の一投はワームがズレた状態で誘っていたのかも…』ともったいない気持ちになりますよね。

当然、ほとんどのワームが真っ直ぐにセッティングされた状態こそ、ワームそのもののポテンシャルを最大限に発揮できるように設計されていると思います。

では、ズレにくくするにはどのような形状が良いのでしょう?

 

セットしやすくズレにくいを求めた形状

まず、ズレる原因はどこなのか?

これは単純明快で、真っ直ぐに近い刺し穴に対して、R状のベンドカーブが侵入することによってワーム内部を圧迫し、山の頂点を境に上下どちらかの方向に逃げようとする力が働いているということでした。

皆さんも経験あるかと思いますが、R状のベンドカーブに合わせるように、ワームを曲げながら差し込んでいると思います。

これであれば刺し穴とベンド形状がほぼ一致してズレないのでは?

私自身もそう感じておりましたが、針先が真っ直ぐである以上、曲げて刺すことは不可能であり、ただ刺し傷を増やしながら刺しているだけであって、実際には傷口が広がり、もっとズレやすい状態になっていることが判明しました。

ならば、真っ直ぐ刺した刺し穴に対して完全な直線が納まれば、刺し傷を増やすこともなければワームを圧迫することもない、最もズレにくい状態となりうる。

ということが判明し、サイスはこの原理を最大限発揮させるために、ワームに収まる部分を完全な直線とし、90°で針先を折り返すことにより、ワームとの一体感が出るように設計しました。

 

オフセットフックに求められるアプローチアングルとギャップ

皆さんはオフセットフックの掛かり方に対してどのような印象を受けるでしょうか。

アプローチアングルだけの観点から考えると、貫通性が非常に高いフックと言えるでしょう。

針先が魚の表皮に触れてさえしまえば、ラインを伝ってロッドティップの方向に引っ張られる力の向きに対して、針先の向かう方向がほぼ同じ方向を向いているので、パワーロスの少ないフックとなります。

言い換えてしまえば、弱い力(ラインスラッグが出やすい釣り、ディープのライトリグ、キャロライナリグのようなダイレクトにアタリを感じにくい釣り)でもフッキングが決まりやすいということです。

ただ、ストレイザーについてお話ししたことを思い出してください。

ワームフックはワームから針先が出なければ、魚の表皮に触れることなくすっぽ抜けてしまうのです。

特にオフセットフックはワームに沿った形で針先を一度ワームに隠して使用しますよね。

ということは、ラインアイよりもある程度ギャップを持たせなければ、フッキングしてもワームに針先が潜り込んでいき、針先が魚の表皮に触れることなく口から出てくるということになってしまいます。

ちなみにスウィープフッキングとはこの現象を理解したうえで、バスの口元周辺に針先が立つように、フックが刺さりどころを探す時間を増やす為のフッキング方法だと理解しています。

ワームの中に針先が刺さり込んでいくという現象を極力抑える為に、サイスは直線部の中心を境にギャップを持たせ、針先を魚の表皮に触れることのできる限界の角度で設計し、パワーロスの少ないフッキングを可能にしました。

オフセットフックに求めるすべての要素を盛り込んだSCYTHE

是非フィールドで体感してみてください。