週末を海で過ごす。五十嵐将実が出会ったSUP FISHING

五十嵐将実。ジャッカルプロスタッフ。国内バスフィッシングトーナメントの最高峰、JBTOP50などで活躍。元トッププロも楽しめるSUPフィッシングの魅力をお伝えする。

SUPがもたらした新たな釣りのスタイル

SUP(サップ)とはスタンドアップパドルサーフィンのこと。ボードに乗り、バランスをとりながらパドルを漕ぐスポーツだ。ボード自体に安定感があり、比較的容易に乗りこなせる。慣れればかなりの長距離をクルージングすることもできる。発祥の地であるハワイでは年齢や性別を超えて多くの人に楽しまれているようだ。そんなSUPと釣りを組み合わせたSUPフィッシングが湘南エリアで流行している。


この日はエントリーポイントの近くの駐車場が空いておらず、やや離れた駐車場を利用した。空気で膨らませるインフレータブルタイプのSUPであれば、多少離れたところへも背負って運ぶことができる。


「きっかけは、友達がやっているのを知って、それで教えてもらいました。もう何度かやっているんですが、マゴチや青物なんかが釣れるんで楽しいですよ。」

湘南エリアは豊富な魚種が狙えることもあり人気の釣りスポットだ。サビキなどを使ったお手軽フィッシングから、シーバス、ヒラメ、マゴチ、青物などをルアーで狙うことができる。この日も早朝から多くの釣り人の姿がみられた。そんな釣りが根付いた地域とも言える湘南エリアでも、SUPフィッシングは新しいスタイルの釣りと言える。

藤沢譲二さんが登場

砂浜につき海へ繰り出す準備をしていると、後ろから声をかけられた。

「おはよう。ジャッカルが来るっていうからさ、僕もきたよ。」

声の主は藤沢譲二さん。日本のプロサーファー1期生の一人であるレジェンドだ。茅ヶ崎に自身のサーフショップを構え、サーフィンやSUPの指導、啓蒙活動に積極的に取り組んでいる。あるSUPイベントでジャッカルの社長でもある小野俊郎プロと知り合い、交流が続いている。

「初めまして、五十嵐将実です」

「どうも、藤沢です。僕がSUPの乗り方とかコツを教えるからさ、五十嵐くんは僕に釣りを教えてよ」

SUPフィッシングSTART!

挨拶もそこそこに準備をすませ、二人で朝の海に漕ぎ出す。

譲二さん曰く、この日は風は穏やかで波も大きくないけど、波に少しうねりがあるかもしれない。とのこと。

SUPは通常のサーフィンとは異なり、風や波があると流されやすくコントロールしにくくなる。海にでるときは必ず風や波予報のチェックを忘れずに。また途中から風が出てくることもあるので、そういった場合は無理せずに早めに切り上げよう。

五十嵐「タックルはジグやルアー、ワームが何個かあれば十分。これでも多いくらいです。」

タックルはロッド1本に小さなタックルボックスの中にルアーが数個と最小限だ。

譲二さんにパドルの漕ぎ方のコツを教わる。また周囲には他のサーファーの方もいるので、近づきすぎないよう注意する。


鏡面のような水面を滑るように移動しながら、キャストを繰り返していく。

地元アングラーによると、最近は青物がよく回ってきており、岸からでもメタルジグなどで釣れることがあるそうだ。その他、マゴチも数こそ少ないが釣れれば、ほぼ50cm以上の良型が釣れている状況とのこと。

水面から突き出て見えるのが「烏帽子岩」で岸からの距離は1,200mほど。付近にはシラス漁を行う船も見える。

気がつくと、二人ははるか向こうに見える茅ヶ崎のシンボル「烏帽子岩」付近まで釣り進み、岸からはほぼ見えなくなってしまった。岸からでは絶対に届かないポイントまでアプローチできるのがSUPフィッシングの強みと言えるだろう

2時間半ほどのSUPフィッシングを終えて戻って来た五十嵐プロは「イナダ」をしっかりキャッチしていた。

「ビッグバッカージグですね。巻いてたら食いました。サイズは小さいですが、沖までいくとやっぱり釣れますね!」

「いやぁ、プロはさすがだねぇ。僕は全然だったよ。」

「譲二さんのおかげです。烏帽子岩のほうまでは行ったことなかったんで、譲二さんに案内してもらえてよかったです」

二人はSUPフィッシングを通してすっかり打ち解けたようだ。


SUPフィッシングとの付き合い方

SUPフィッシングは自身のいまの生活スタイルとマッチしている、と五十嵐プロは語る。

「自分は去年JB TOP50を引退しました。理由を一つをあげるのであれば結婚して子供ができたことです。どうしてもトーナメントにでていると、全国をトレイルしながら練習したり試合があったりで、家を空けることが多くなる。奥さんや子育てのことを優先的に考えた結果です。

いまは普通の会社員として、平日は働き日曜日は休みといった生活です。まだ子供も小さいので、丸一日、釣りにいく時間も取りにくい。そんな中でもSUPフィッシングはいいですね。住んでいる横浜からなら40分ほどで来れます。そして今日のように午前中だけ釣りをして、午後から家族サービスの時間も取れる。大物が釣れたら持って帰ってお土産にもできるので笑。僕と同じような状況で、釣りに行く時間がなかなか取れない、でも釣りはしたいという人に是非トライしてほしいですね。SUPは水面との距離が近くて、めちゃくちゃ気持ちいいですし、エキサイティングなファイトも楽しめますよ。」

さらに自身が考えるバスフィッシングとの違いに関しても語ってもらった。

「僕のバスフィッシングはトーナメントに出場し、勝つための勝負だった。もちろんそれはそれで楽しいし、バスフィッシングがきらいになったわけでもない。トーナメンがあってその中での真剣勝負は、間違いなくバスフィッシングの面白いところ。でもSUPフィッシングはそこまで気負わなくていいし、釣り本来の楽しさというか、釣りを始めたばかりの新鮮な気持ちも思い出させてくれました。バスフィッシングとは違った角度から「釣り」という遊びを再発見できました。

みなさんも機会があればSUPフィッシングにチャレンジしてみてはいかがだろうか。

※SUP及びSUPフィッシングをする場合、その地域のルールやマナーを確認した上で行ってください。